一般に、給与所得者が会社から金銭で受け取る旅費については、原則として給与課税の対象となります。ただし、①勤務をする場所を離れてその職務を遂行するための旅行②転任に伴う転居のためにする旅行③就職または退職した者がその就職や退職に伴う転居のためにする旅行④死亡による退職をした者の遺族がその退職に伴う転居のためにする旅行――などの旅行をするために支給するものについては非課税とされています。
つまり、いわゆる出張旅費や転勤に伴う旅費であれば非課税扱いとなりますが、職務に関係のない単なる帰宅費用の場合は課税対象ということです。
ただし、単身赴任者の場合、職務遂行上必要な旅行に付随して帰宅のために旅行を行った場合に支給される旅費については、これらの旅行の目的、行路などからみて、これらの旅行が職務遂行上必要な旅行と認められ、かつ、その旅費の額が適正と認められるものである場合は、非課税として取り扱ってもよいこととされています。たとえば、本社での会議出席のついでに自宅に帰るケースなどは非課税扱いとされる可能性が高いといえます。
通常、単身赴任者が、会議など職務遂行上の理由で旅行を行った場合に会社が支給する旅費・交通費は、通常必要と認められる範囲の金額であれば給与として課税されることはありません。
しかし、そこに「帰宅」という個人的な用事を絡めるとなると、会社から支払われた旅費・交通費が給与扱いとなり、所得税が課税されるのではないかという疑問が生じます。
これについては、国税庁が「会議などに併せて帰宅した場合に支払われる旅費については、基本的には給与課税されない」ことを質疑応答事例のなかで明らかにしています。
ただし国税庁は、この取り扱いにおける「帰宅のための旅行」とは、あくまで職務出張に付随するものであることから、「その期間や帰宅する地域等には、おのずから制約がある」とし、非課税として認められる「帰宅のための旅行」の日程をいくつか例示しています。
たとえば、5泊6日の旅行の場合(日程のうち初日と最終日は移動日として考える)、2日間出社し職務に従事していれば、2日間を帰宅に充てていたとしても、その出張旅費は非課税として認められます。また、4泊5日の旅行で週末を挟んだ場合については、土日の2日間を帰宅に充て、出社日が1日しかなかったとしても、非課税として差し支えないとしています。
2017年7月9日日曜日
登録:
コメントの投稿 (Atom)
(法人税)社宅家賃<役員>
役員に対して社宅を貸与する場合は、役員から1か月当たり一定額の家賃(以下「賃貸料相当額」といいます。)を受け取っていれば、給与として課税されません。 賃貸料相当額は、貸与する社宅の床面積により小規模な住宅とそれ以外の住宅とに分け、次のように計算します。ただし、この社宅が、社会...
-
青色申告法人である中小企業者が利用できる「取得価額30万円未満の減価償却資産の損金算入の特例」。取得価額が30万円に満たない減価償却資産の取得価額は一括して損金算入できるという、使い勝手の良い特例です。 しかし、30万円を超える備品が必要となることは意外に多く、その場合は通常...
-
容器に社名や商品名が大きくプリントされていることから、デザイン変更にともない発生したデザイン料は「広告宣伝費」扱いになるのではと思いがちです。 しかし、商品のパッケージや容器は商品の一部を構成するものであるため、そのデザイン料も商品の一部を構成する費用、つまり、容器作成のため...
-
プレハブやコンテナなどを置いて収納スペースとして貸し出すサービス。 このサービスはトランクルームやレンタル収納スペースなどといわれるものですが、両者には業務上の明確な違いがあります。「トランクルーム」は倉庫業であり、倉庫業法に則り、倉庫業者が荷物の保管責任を負います。一方「...
0 件のコメント:
コメントを投稿