2017年5月28日日曜日

(消費税)不動産業の消費税

建物を含まない土地のみの譲渡や貸し付けの場合。これは原則として消費税の課税の対象ではありません。例外が、貸付期間が1カ月に満たない、ごく一時的な土地の貸し付け。この場合は土地の貸し付けでも消費税の課税対象となります。
 次に、建物や駐車場といった「上物」を含む貸し付けの場合。駐車場の場合は、いわゆる「青空駐車場」かどうかで扱いが異なります。
 地面の整備やフェンス、区画などがない青空駐車場は、「土地の貸し付け」になるため、駐車場として貸していてもその賃料収入は非課税です。

 一方、駐車している車両の管理を行っている場合、駐車場としての地面の整備またはフェンス、区画、建物の設置などをして駐車場として利用させる場合には、消費税の課税の対象となります。これは、野球場、プール、テニスコートといった施設を貸し付けている場合も同様で、課税の対象です。
 建物(住宅除く)などの施設の貸し付けをする場合に、その使用料を建物部分と敷地部分に区分しているときでも、その総額が建物の使用料として消費税の課税の対象となります。
 最後に住宅用建物の貸し付けは、貸付期間が1カ月に満たない場合などを除き消費税の課税の対象とはなりません。

2017年5月21日日曜日

(法人税)役員への貸付金で重要視される利率

「会社が役員に金銭を貸し付けた場合」は、会社が役員から受け取る利息が税務上のポイントになります。無利息で貸し付けると、会社側は「通常取得すべき利率で計算した利息額」を役員給与としなくてはなりません。きちんと利息はもらっている、という場合でも、通常取得すべき利率より低い利率だと、「通常取得すべき利率による利息額-実際に会社が受け取った利息額」を役員給与にする必要があります。

 ここで、では「通常取得すべき利率」とは何%なのか?という疑問が出てきます。
 これは明確に定められていて、ほかから借りて役員に貸し付けたなら、その「借入金の利率」が通常取得すべき利率になります。それ以外の場合、「前年11月30日の基準割引率および基準貸付利率+4%」が通常取得すべき利率です。
 ただし、例外もあります。
①災害や病気などにより臨時に多額の生活資金が必要という理由で、合理的と認められる金額・返済期間で金銭を貸し付ける場合②受け取った利息と認められる額が1年間で5千円以下――このどちらかに該当するなら、給与課税対象外です。

2017年5月14日日曜日

(消費税)郵便切手に係る消費税の課税関係

消費税法基本通達において、非課税とされる郵便切手類等の譲渡は、郵便局や指定された郵便切手類販売所など一定の場所における譲渡に限られると定めております。
 したがって、郵便局等から購入した郵便切手は非課税仕入れですが、コンビニや金券ショップなど郵便局等以外の場所から購入した郵便切手は課税仕入れとなります。
 つまり、消費税法上、郵便切手は、購入場所によって課税・非課税の取扱いが異なりますので、くれぐれもご注意ください。

 また、郵便切手は、使用時に課税取引となります。ただし、会社が不要となった未使用の郵便切手を金券ショップなどに売却した場合は、郵便局等が行った譲渡には該当しないので、課税対象となります。
 したがって、郵便切手は原則、購入時においては課税仕入れには該当せず、使用時に使った分だけ課税仕入れとなりますが、消費税法基本通達では、郵便切手を購入した事業者が、自ら引換給付を受けるものにつき、継続して、その対価を支払った日の課税期間に課税仕入れとしている場合には、これを認めています。

2017年5月7日日曜日

(法人税)会社契約の生命保険 解約トラブル

会社が生命保険に加入する理由はさまざまです。満期保険金や死亡保険金は、退職金や死亡退職金の原資づくりに役立ちます。また解約返戻金は契約者に帰属するため、いざという時のための運転資金の確保に便利。さらに、保険契約自体が金融機関からの借り入れ担保になるため、生命保険契約をすることによって、事業資金の調達ルートの選択肢は思いのほか広がることになります。

 それだけではありません。契約形態を工夫することで、支払い保険料は法人税計算上の損金に算入することも可能になります。こう考えていくと、会社の生命保険加入は一振りで2度、3度、4度とオイシイ打ち出の小づちのようです。
 ただし、超高性能の「打ち出の小づち」だけに、慎重に扱わないと不具合が生じることもあるので要注意です。
 例えば、会社が契約者となっている生命保険契約を、何らかの事情で解約するケース。会社が契約者となり、役員および従業員を被保険者とする養老保険に加入しているケースでは、会社が負担した保険料は被保険者である役員および従業員への給与扱いとなり、会社側では損金算入扱いとなります。

 役員や従業員にしてみれば、給与扱いとなる支払保険料に係る税負担だけで生命保険に加入できることになるためオイシイ話ですが、この契約を会社が解約した場合、事態は一変します。解約返戻金は契約者である会社に帰属するからです。もし会社が受け取った解約返戻金相当額を被保険者である役員や従業員に支払わなければ、彼らは給与課税分の税金を「取られ損」ということになってしまいます。せっかくの生保加入がトラブルに発展しないよう十分な注意が必要です。



2017年5月5日金曜日

(消費税)車の売却や購入 消費税

消費税法では、国内において事業者が行う物の販売と役務の提供及び外国貨物の輸入に消費税を課することになっています。

◆対価の額について
 消費税について、課税標準額の計算に用いるのは、課税資産の譲渡等の対価の額です。車の売却に際し、対価の額は「売却損益」ではなく、「売却収入」について考える必要があります。また、車の買い換えの時に中古車両を下取りに出し、下取り金額と新車の購入代金とを相殺して購入することがあります。この場合も中古車両の下取り金額を課税売上高として処理します。
 一方、新車の取得については、下取り金額を差し引く前の金額で課税仕入高を考えます。つまり、消費税を考える場合、「所得」ではなく「売上」を基準に計算をする事に注意する必要があります。

◆自動車税の清算金について
 自動車税は、毎年4月1日の自動車の所有者に対して翌年3月31日までの税金が課税されます。中古車両を売買する場合に、自動車税が売り手と買い手の間で清算が行われることがあります。これらの清算は商慣行として行っているだけで、法律として定められているものではありません。そのため売り手は租税公課(自動車税)のマイナスの処理にするのではなく、中古車両の対価の一部として取り扱われることになり、自動車税の清算金は「課税売上高」として処理します。一方、買い手の側の自動車税の清算金は「課税仕入高」として処理します。ただしこれらの処理の考え方を疑問とする意見もあります。

◆「個人事業者が事業に付随して」対価を得て行う車の売却
 個人事業者が、事業に付随して対価を得て車を売却した場合、事業所得ではなく譲渡所得となりますが、売却した車両についても消費税の申告をすることになります。この場合、所得ではなく売却収入(譲渡金額)を課税売上高として処理する事も確認しておきたいです。

2017年5月4日木曜日

(法人税)情報提供料の税務

いまや「情報」は他の資源と同等またはそれ以上の価値を持ちます。特に企業活動において有益な情報は事業の盛衰に直結するため、高額な料金でやり取りされることもしばしば。情報化社会の進行にともない、情報の価値は増す一方です。

 ところで、情報自体が高額な値段で売買される場合、税務上の取扱いには十分な注意が必要です。
 モノがモノだけに、時としてその対価は限りなく交際費に近づきますが、会社としては損金算入限度額が決まっている交際費ではなく、なんとか全額損金算入が可能な「情報提供料」に持っていきたいところです。

 一般に、情報提供を行うことを業としている者に支払う情報提供料は損金扱いとすることができます。しかし、情報提供を業としていない者に支払う場合、その金額を損金扱いとするためにはいくつかの要件を満たす必要があります。
 まず、その情報提供料の支払いがあらかじめ締結された契約にもとづくものであること。そして、提供を受ける役務の内容が契約等で明らかにされており、実際に提供を受けていること。さらに、情報提供の内容に照らして支払った金額が妥当であること。

 たとえば、政界や財界のみならず企業情報にも通じている高級料亭や高級クラブの従業員から客の動向を知らせてもらうことで情報提供料を支払うケースがありますが、この場合は、情報の提供内容がとくに定められておらず、情報提供自体が現実に行われているか確認が取りづらいため、正当な取引とは認められず交際費扱いになる可能性が高いようです。また、得意先や仕入先などの取引先の従業員に対する支払いは、交際費扱いになります。

2017年5月3日水曜日

(法人税)未払いの役員賞与

景気低迷で資金繰りが悪化し、未払いの役員賞与がたまってしまっているケースは少なくありません。こうした会社の中には、銀行取引などの円滑化を意識してなんとか未払い分を〝チャラ〟にしようとする動きもあるようですが、その場合、税務上の処理には注意が必要です。

 未払い役員賞与を支払わないこととする場合、源泉所得税の負担についても同時に消滅するものと考える向きもあるようですがこれは間違いです。税務上、未払い役員賞与を支払わないこととした場合には、役員がいったん役員賞与を受け取った後に企業へ役員賞与相当額を返納したものとして取り扱うため、未払い役員賞与に対する源泉徴収税額の納付義務は消滅しません。

 また未払い役員賞与は、支払い確定日から1年を経過した時点で支払いがあったものと見なして源泉徴収税額を納めなければなりません。この規定に基づいて源泉徴収税額を納めた企業の中には、その後、未払い役員賞与を支払わないこととした時点で納付済みの源泉徴収税額の還付を受けようとするケースも見られますが、これもNG。この場合も源泉徴収税額の負担が免除されるわけではないため還付は受けられません。
 このほか、未払い役員賞与を支払わないこととした場合、本来なら債務免除益が発生することになりますが、支払わないこととした理由が経営状況の悪化によるなど一定の基準に当てはまるときは、益金として計上しないことができます。

 ここで気になるのが、何をもって「経営状況の悪化」とするか。例えば今期赤字でも昨年まで黒字だった場合は認められないのではと捉える向きもありますが、当局では「赤字期間の長短ではなく、現実に業績不振であるかどうかで判断する」としています。

2017年5月2日火曜日

(法人税)新商品開発で見本品 宣伝費か交際費か

社運を懸けて開発した新商品は、商品自体の性能や出来栄えに相当な自信があるものですが、それだけで勝負するのではなく、その売り方や見せ方にも工夫を凝らすケースが少なくありません。キャンペーンをはったりパッケージに凝ったりと工夫の仕方はさまざまですが、ごく一般的な方法として見本品の配布が挙げられます。

 見本品といっても、製作過程の未完成段階の見本ではなく、広告宣伝や販売促進の目的で得意先や一般消費者などに配布する見本品のこと。「こんな新商品が出ました。実際に使ってみて効果(性能)を実感していただき、気に入ればご愛顧ください」というわけだ。
 新商品を店頭販売する前段階で得意先や一般消費者などに見本品や試用品を贈呈する場合、これにかかった費用の税務上の取り扱いが気になりますが、一般的に必要と認められる範囲内であれば広告宣伝費扱い。交際費に含めなくても差し支えありません。

 ここで気を付けておきたいのが、「一般的に必要と認められる範囲内」の範囲についてです。得意先や一般消費者へ配布する見本品が「広告宣伝費」として認められるためには、その見本品があくまでサンプル的なものでなくてはなりません。
 高額な商品の現物配布や、特定の者への配布などは、広告宣伝というよりはむしろ贈答目的の行為と判断されても仕方がありません。会社の内部の位置付けでは「販売促進目的」とされているものでも、税務署の判断で「交際費扱い」になってしまうこともあるので、得意先等への見本品の配布に際しては、価格と配布先に十分に注意を払いたいものです。

2017年5月1日月曜日

(消費税)お中元、お歳暮は課税仕入に 対価性の有無が基準

寄付金の支出は対価を得て行われる取引ではないので課税仕入れとはなりませんが、名目は寄付であっても、その寄付に対価性が認められる場合には課税仕入れとなります。つまり金銭を寄付するのではなく、お中元、お歳暮などで物品を購入して寄付(プレゼント、付け届け)した場合は、その際の物品購入代金は課税仕入れとなるのです。
 さらに交際費についても、その支出がお中元やお歳暮のように得意先への贈答品としての物品の購入代金や、得意先の接待のための飲食代の支払いである場合には、原則として課税仕入れとなります。

 ただし、得意先へ商品券の交付をする場合や、祝金、餞別(せんべつ)、弔慰金などを支出した場合には、課税仕入れとはなりません。また、渡切交際費などで、その使途が明らかにされていない場合には、仕入税額控除の対象とならないので注意が必要です。

(法人税)社宅家賃<役員>

役員に対して社宅を貸与する場合は、役員から1か月当たり一定額の家賃(以下「賃貸料相当額」といいます。)を受け取っていれば、給与として課税されません。  賃貸料相当額は、貸与する社宅の床面積により小規模な住宅とそれ以外の住宅とに分け、次のように計算します。ただし、この社宅が、社会...