2017年7月30日日曜日

(法人税)ゴルフに係わる課税

ゴルフ会員券については、会社で取得した場合は資産として計上します。もし、取得したのが個人会員権だった場合、原則として名義人となった役員に対する給与として取り扱われます。ただし、そのゴルフクラブに個人会員権しかない場合は別。会社の資産にすることも可能です。
 ゴルフのプレー代については、プレーが会社の業務の遂行に必要であると認められる場合には交際費に該当しますが、単に役員の個人的趣味にすぎない場合には役員に対する給与となります。そのため、税務調査を想定して、厳密に区別するために稟議書などでプレーの目的を明らかにしておくことがリスク対策となります。
 プレー代が交際費となるならば、接待ゴルフのための練習費用も同様に処理したいところですが、これは交際費処理できません。もしその費用を会社が負担したら、やはり役員への給与ということになります。

 また、ゴルフ接待では、クラブハウスなどでの飲食費の支出もありますが、この処理についても注意が必要です。1人当たり5千円以下の飲食費を交際費から除外するいわゆる「5千円基準」について、飲食部分だけを抜き出して適用するのはNG。というのも、ゴルフ接待にともなう飲食費は、ゴルフ接待という一連の行為の中で行われわれるためです。よって、ゴルフ接待費と飲食費を含め全額を交際費などとして処理することになります。

(法人税)社宅家賃の“適正額”

社員に社宅を貸す場合、1カ月当たり一定額の家賃を受け取っていれば給与課税の対象となることはありません。しかし、社宅家賃が低すぎると現物給与として所得税の課税対象となるので注意が必要です。

 ここでいう「一定額の家賃」の基準とは、
 ①(その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
 ②12円×建物総床面積(㎡)÷3.3(㎡)
 ③(その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%、
の3つを合計した金額です。社宅を無料で貸し付けている場合は、この基準金額が給与扱いとなりますし、家賃がこの基準金額より低い場合はその差額が給与扱いとなります。ただし、社員から受け取っている家賃が基準額の50%以上であれば差額が給与課税されることはありません。
 しかし、社宅の借り手が役員の場合は、「基準額」の取り扱いが社宅の規模などによって変わってくるので注意が必要です。

 小規模社宅の場合は、前述の計算式による基準額で評価します。「小規模」の判定基準は、建物の耐用年数が30年以下の場合は床面積132平方メートル以下、30年超の場合は床面積99平方メートル以下であるものです。
 「小規模」でない社宅については、
 ①(その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×12%(耐用年数30年超の場合は10%)
 ②(その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×6%、
の合計額の12 分の1が1カ月当りの基準家賃となります。
 なお、建物の床面積が240平方メートル超で、内装や外装の状況など各種要素を総合勘案して「豪華社宅」と認められる場合は、時価で評価されることになるので注意が必要です。

2017年7月23日日曜日

(所得税)「生計を一」

所得税法の「生計を一」には、勤務、修学、療養など都合上ほかの親族と日常の起居を共にしていない親族がいる場合であっても、①ほかの親族と日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学などの余暇にはその親族のもとで起居を共にすることが常例となっている②これらの親族間で、常に生活費、学資金、療養などの送金が行われている場合――このようなケースは「生計を一」と認められます。
 逆に、親族が同一の家屋に起居していても、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合は「生計を一」とはいえません。「生計を一」というからには、生活の資を共にしていることが重要です。

 こうなると、「配偶者」は?「親族」は?という疑問がわいてきます。
 これら2つの言葉は民法に規定の軸足を置いています。配偶者は、「戸籍法の定めるところにより市区町村長等に婚姻の届出をした配偶者」です。外国人の場合で民法の規定によれない人は、その人の本国法に定める要件を満たすことで婚姻が成立した配偶者を指します。
 「親族」は、①6親等内の血族②配偶者3親等内の姻族のことです。





2017年7月16日日曜日

(法人税)社葬でもらう香典

会社が費用を負担して行った社葬で受け取る香典には、「費用を会社が出しているのだから当然、会社の収入だ」という考え方と、「故人の冥福を祈るため持参された香典なのだから、弔慰金として遺族の収入とすべき」というふたつの考え方があります。
 どちらの考え方も合理性がありますが、社会通念上からいえば遺族の収入とするのが常識的。――ということから、社葬に寄せられた香典は会社の収入とせず、遺族の収入とすることが認められています。

 社葬の費用は、その社葬を行うことが社会上通念上相当で、負担した金額が社葬のために通常要する額と認められれば、その支出をした日の属する事業年度の損金に算入することができます。
 社葬を行うことが社会通念上相当かどうかで判定のポイントとなるのは、死亡した役員などの「死亡の事情」や「生前における会社に対する貢献度合い」など。創業者でもなく、会社の経営にほとんどタッチしなかった役員の場合、社葬費用の負担は常識では考えられません。
 費用面では、院号を受けるための費用や、密葬・墓石・仏壇・位牌などの費用は「通常要すると認められる金額」ではないでしょう。
 また、社葬を行うことを決めた取締役会の議事録も税務調査の際は重要書類となるので、必ず用意しておきましょう。





2017年7月9日日曜日

(法人税)単身赴任者の帰宅費

一般に、給与所得者が会社から金銭で受け取る旅費については、原則として給与課税の対象となります。ただし、①勤務をする場所を離れてその職務を遂行するための旅行②転任に伴う転居のためにする旅行③就職または退職した者がその就職や退職に伴う転居のためにする旅行④死亡による退職をした者の遺族がその退職に伴う転居のためにする旅行――などの旅行をするために支給するものについては非課税とされています。
 つまり、いわゆる出張旅費や転勤に伴う旅費であれば非課税扱いとなりますが、職務に関係のない単なる帰宅費用の場合は課税対象ということです。

 ただし、単身赴任者の場合、職務遂行上必要な旅行に付随して帰宅のために旅行を行った場合に支給される旅費については、これらの旅行の目的、行路などからみて、これらの旅行が職務遂行上必要な旅行と認められ、かつ、その旅費の額が適正と認められるものである場合は、非課税として取り扱ってもよいこととされています。たとえば、本社での会議出席のついでに自宅に帰るケースなどは非課税扱いとされる可能性が高いといえます。

通常、単身赴任者が、会議など職務遂行上の理由で旅行を行った場合に会社が支給する旅費・交通費は、通常必要と認められる範囲の金額であれば給与として課税されることはありません。
 しかし、そこに「帰宅」という個人的な用事を絡めるとなると、会社から支払われた旅費・交通費が給与扱いとなり、所得税が課税されるのではないかという疑問が生じます。

 これについては、国税庁が「会議などに併せて帰宅した場合に支払われる旅費については、基本的には給与課税されない」ことを質疑応答事例のなかで明らかにしています。
 ただし国税庁は、この取り扱いにおける「帰宅のための旅行」とは、あくまで職務出張に付随するものであることから、「その期間や帰宅する地域等には、おのずから制約がある」とし、非課税として認められる「帰宅のための旅行」の日程をいくつか例示しています。

 たとえば、5泊6日の旅行の場合(日程のうち初日と最終日は移動日として考える)、2日間出社し職務に従事していれば、2日間を帰宅に充てていたとしても、その出張旅費は非課税として認められます。また、4泊5日の旅行で週末を挟んだ場合については、土日の2日間を帰宅に充て、出社日が1日しかなかったとしても、非課税として差し支えないとしています。

2017年7月2日日曜日

(法人税)会社に現物出資 担保資産の場合

増資の際に現物出資で給付を行う事例。

 一般的に現物として有価証券や土地などを出資することが多いようですが、資産の取得価額が会社への譲渡価額よりも高ければ、譲渡した側で譲渡所得を計上しなければなりません。
 この際、注意しなければならないのが、現物出資したものが借金の担保に入っている場合です。例えば、社長が2千万円の借金担保となっている時価5千万円の土地を会社に現物出資するケースを考えてみましょう。2千万円の借金ごと会社が引き受けた場合、株式は借金の2千万円を差し引いて、3千万円分が発行されるというのが正しい姿です。しかし、だからといって譲渡所得の計算上、収入金額を3千万円としてしまうのは間違いとなります。
 社長には2千万円の債務消滅という経済的利益が発生しているため、譲渡収入金額は5千万円ということになるのです。

(法人税)社宅家賃<役員>

役員に対して社宅を貸与する場合は、役員から1か月当たり一定額の家賃(以下「賃貸料相当額」といいます。)を受け取っていれば、給与として課税されません。  賃貸料相当額は、貸与する社宅の床面積により小規模な住宅とそれ以外の住宅とに分け、次のように計算します。ただし、この社宅が、社会...