2017年8月28日月曜日

(所得税・相続税)会社からの弔慰金

弔慰金は、社会通念上相当と認められるものに限り所得税および贈与税が課されないこととなっており(所得税基本通達9-23、相続税法基本通達21の3-9)、その範囲を超えた部分の金額については相続税の課税対象となります。
 ですが、この「社会通念上相当と認められるもの」という表現は曖昧であるため、この文面だけで非課税となる弔慰金の範囲を判断するのは難しいもの。

 これについて国税庁は、「相続税法基本通達3-20の中で弔慰金として取り扱われた金額については課税されない」としています。
 この「弔慰金として取り扱われた金額」とは、①被相続人の死亡が業務上の死亡であるときは、死亡当時における賞与以外の普通給与(俸給、給料、賃金、扶養手当、勤務地手当、特殊勤務地手当等の合計額)の3年分に相当する金額②被相続人の死亡が業務上の死亡でないときは、被相続人の死亡当時における賞与以外の普通給与の半年分に相当する金額――とされ、この範囲を超えた金額については「社会通念上相当と認められるもの」に該当せず、退職手当金の一部として取り扱うべきであることを明確化しています。

2017年8月27日日曜日

(法人税)デザイン料の税務

容器に社名や商品名が大きくプリントされていることから、デザイン変更にともない発生したデザイン料は「広告宣伝費」扱いになるのではと思いがちです。
 しかし、商品のパッケージや容器は商品の一部を構成するものであるため、そのデザイン料も商品の一部を構成する費用、つまり、容器作成のための費用ということになります。
 したがって、この種のデザイン料は、広告宣伝費扱いにはならず、容器の製作原価扱い。そして、これはつまり商品そのものの製造原価ということになります。
 ただし、製作原価への配賦方法については少し注意が必要です。デザインの内容によって取り扱いが微妙に異なってくるからです。

 配賦方法は、そのデザインが意匠登録されているか、されていないかで異なります。
 そのデザインが意匠登録されている場合は、無形固定資産の取得価額となるので減価償却費の計算にもとづき製作原価に配賦します。
 意匠登録されていない場合は、製造予定期間に応じて、製作原価に配賦することになります。

2017年8月26日土曜日

(法人税)創立記念品を「元従業員」に支給 

通常、企業が専ら従業員の慰安のために行う運動会、演芸会、旅行などのために通常要する費用については、その運動会、演芸会、旅行などが全社員を対象としていることなどを条件に、交際費ではなく福利厚生費として取り扱うことが可能とされています。

 また、創立記念、増資記念、工事完成記念または合併記念などに際して、その記念として支給する記念品のうち、①社会通念上、記念品として相応しいものであり、その価額が1万円以下のもの②創立記念のように一定期間ごとに到来する“記念”に際して支給する記念品については、おおむね5年以上の期間ごとに支給するもの――といった2つの条件を満たしているものについても、その購入費用を福利厚生費として損金の額に算入することができます(法人税基本通達36‐22)。

 それでは、「元従業員」に対して支給される記念品についてはどうなるのでしょうか。定年退職者で組織されるOB会などの在籍者に対してもこうした記念品を配るケースは少なくありません。
 これについて国税庁は、「元従業員にいわば一律に支給される創業記念品については、従業員と同様に取り扱うことが相当」であることを明確化しています。
 一方、「一律に支給」「高額でない」といった条件を満たしている創立記念品であっても、関連会社や取引先の社員などに支給された場合、その購入費用は交際費になります。

2017年8月21日月曜日

(消費税)自家消費した商品の消費税

消費税は、実際に受領した課税資産の譲渡などの対価が課税標準となるのが原則です。しかし、対価を得ない取引に対して、対価を得て行う資産の譲渡とみなして課税される場合と、一定の取引でその対価の額が時価に比べて著しく低い場合には、その時価を対価の額とみなして課税されます。

 こうした取引の例として、個人事業者の自家消費と法人がその役員に対して行う資産の贈与及び著しく低い価額による譲渡が挙げられます。
 個人事業者が自家消費した場合には、その自家消費した資産の消費もしくは使用した時点の資産の価額、すなわち時価に相当する金額を課税標準とみなして課税されることになります。
 ただし、そのたな卸資産の仕入価額以上の金額で、しかも、通常ほかに販売する価額のおおむね50%に相当する金額以上の金額を対価の相当額として確定申告した場合は、その申告での取り扱いが認められます。

2017年8月20日日曜日

(所得税)屋上の広告板料金

広告などのため、土地、家屋の屋上または側面、塀などを使用させる場合に地主や家主が受け取る対価は、「不動産所得」に該当します。
 不動産所得とは、①土地や建物など不動産の貸付け②地上権など不動産の上に存する権利の設定および貸付け③船舶や航空機の貸付け――によって生じる所得です。「総収入金額-必要経費」で計算します。
 必ずしも広告看「板」に限らず、広告塔やネオンサインなどの設置の対価として受け取るものも含まれます。また、広告を出す使用料のほか、「許諾料」などとして一時に受け取るものや、「管理料」「電気料」などとして受け取るものも含まれます。

 ところで、街中の広告看板というと、野外にあるものだけではありません。銭湯や飲食店など、人が集まる場所の壁面にも広告看板は存在します。
 浴場業、飲食業など店舗内に広告の掲示することで店主が受け取る収入については、不動産所得ではなく事業の付随収入として「事業所得」となります。
 事業所得は、農業・漁業・製造業・卸売業・小売業・サービス業その他の事業を営んでいる人の、その事業から生ずる所得のことです。不動産所得同様、「総収入金額-必要経費」で計算します。

(法人税)役員昇格で退職金

退職金を支給するにあたって、退職給与規定に基づいて使用人であった期間の退職金として行った場合、その支給した事業年度の損金の額に算入できます。ただし、未払金に計上した場合には損金の額に算入されません。
 また、使用人兼務役員が、副社長や専務取締役など使用人兼務役員とされない役員となった場合には、扱いが異なるので注意が必要です。使用人兼務役員であった期間の退職金として支給した金額は、たとえ使用人の職務に対する退職金として計算されているものであっても、その役員に対する「退職金以外の給与」となってしまいます。

 ただし、支給した要件が、①過去において使用人から使用人兼務役員に昇格した役員で、昇格時に使用人だった期間にかかる退職金の支給をしていない②支給した金額が使用人としての退職給与規程に基づき、使用人であった期間及び使用人兼務役員であった期間を通算して、その使用人としての職務に対する退職金として計算され、かつ、退職金として相当な金額であると認められる――の両方に該当していれば、その支給した金額は使用人としての退職金として取り扱われることになります。

 また、退職給与規程を制定または改正したことにより、その時点ですでに使用人から役員に昇格していた人にも退職金を支払うということもあります。この際にも、過去に退職金を支払った実績がなく、その額が相当ならば損金として認められます。

2017年8月13日日曜日

(法人税)修繕費の判定

。「固定資産の使用可能期間を延長させたり、価値を増加させたりする修理、改良」のために要した費用は、修繕費とならず、“資本的支出”として通常の減価償却処理を行うことになるためです。なお、資本的支出に該当する修理、改良として、自社ビルの修繕に併せて「非常階段などを新たに取り付けた場合」や、機械設備の修理に併せて「機械の部品を特に品質や性能の高いものに取り替えた場合」などがあります。

 ところで、今年の夏は、全国各地で床上浸水、土砂崩れなどによる被害が相次ぎました。こうした水害を含む自然災害などにより固定資産が被害を受けた場合、修繕費として認められる費用は
①被災資産の現状復帰費用
②被災資産の被災前の効用を維持するために行う補強工事、排水・土砂崩れなどの防止費用
③修繕費なのか、資本的支出なのかが明らかでない費用のうち、法人がその金額の30%相当額を修繕費としたもの(残りの金額を資本的支出として計上することが必要)――などです。
 水害防止のために貯水池など特別な施設を設置したりする場合は、新たな資産の取得に当たり、修繕費として処理することはできません。

(法人税)社員旅行を実施 会社負担の税務

会社が社員旅行を実施する場合、旅行費用の一部を会社が負担するケースがほとんどです。社員旅行は、社員の慰安のために行われるものなので、これらの費用については福利厚生費として処理することができます。ただし、場合によっては従業員への給与となることもあるので要注意です。
 基本的には、①社員旅行の日程が4泊5日以内(海外旅行の場合は、旅行先での滞在日数が4泊5日以内)②全従業員の50%以上が旅行に参加――などの要件を満たしていれば、給与課税されることはありません。
 しかし、過度に贅沢な社員旅行となれば話は別です。社会通念上、一般的な旅行費用の範囲内でなければ、会社負担の費用部分は給与課税されてしまうと考えた方がよいでしょう。

 ところで、どうしても都合がつかず社員旅行に参加できない社員に対して、会社が旅行費用の負担に代えて金銭を支給するケースがありますが、この場合、税務上の取り扱いが大きく変わってくるので注意が必要です。
 旅行に参加できなかった社員に支給した金銭は、給与として取り扱うことになりますが、同時に旅行の参加、不参加を問わず、すべての社員に対し、その支給した金額の分だけ給与を支払ったこととされてしまいます。たった一人の社員への“便宜”が全社員への“被害”につながってしまうので気を付けましょう。


2017年8月6日日曜日

(法人税)取締役から監査役へ 退職金税務

取締役と監査役は同じ会社に関わる役職に変わりはありませんが、取締役としてのそれまでの働きに対する慰労金として退職金を打ち切り支給する場合、退職給与として取り扱うことができます。
 ただしこれは、実質的に退職したと同様の事情にあると認められる場合のみ認められる処理です。

 法人税の取り扱いでは、役員の分掌変更の際に支給する給与について、その分掌変更によりその役員としての地位または職務の内容が激変し、実質的に退職したと同様の事情にあると認められるときは、退職所得として取り扱うことができるとされており、その具体例が法人税法基本通達で示されています。
 それによると、「退職したと同様の事情」にあたると認められるのは①常勤役員が非常勤役員になったこと②取締役が監査役になったこと③分掌変更等の後におけるその役員の給与が激減(おおむね50%以上の減少)したこと――などです。

 ただし、これらのケースに当てはまるものでも実質的にその法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者や、その法人の株主等で使用人兼務役員とされない役員に掲げる要件のすべてを満たしている者は除かれます。
 また、③でいう「給与が激減」とは、おおむね50%以上が減少したことを意味するので頭に入れておきましょう。

(所得税)保険料の借入利息

契約者と保険金受取人が同一人である場合、満期保険金や解約返戻金は一時所得扱いとなり所得税の課税対象となります。
 一時所得の計算上控除できる必要経費は、生命保険の場合「支払保険料」となりますが、この支払保険料を金融機関からの借り入れで支払った場合には、その借入利息についても、一時所得計算上の必要経費に含めることができます。
 ただしこの場合、生保契約と“ヒモ付き”であることが条件です。ここでいう“ヒモ付き”の具体的な意味が気になりますが、これはたとえば、生保会社が加入者に対して行う「自動振替貸付」や、使途を限定した「提携ローン」など、両者のヒモ付き関係が証明できるような契約であることがポイント。

(法人税)社宅家賃<役員>

役員に対して社宅を貸与する場合は、役員から1か月当たり一定額の家賃(以下「賃貸料相当額」といいます。)を受け取っていれば、給与として課税されません。  賃貸料相当額は、貸与する社宅の床面積により小規模な住宅とそれ以外の住宅とに分け、次のように計算します。ただし、この社宅が、社会...